谷町クダリ様から頂いたエミリアのイラストですw

 


<<「憧憬」  目次  1 彼女を候補に選んだ理由>>



 手紙を持って奥の小部屋に戻ったわたしは、先程まで座っていた席に戻り、先ほど届いたばかりの手紙をもう一度読み直した。
 よかった……本当によかった……。
 広げてあった仕事を机の隅に片し、新しい便箋を目の前に置く。
 ペンを持ち文面を考え始めた。


 まずはおめでとうと書こう。
 お別れの時、二人に言えなかったから。
 あれから──わたしが旅立ってからも、いろいろなことがあった。
 それらを乗り越えられたからこそ“今”があると誇って欲しい。

 大きな山を乗り越えたけど、二人の未来にはさまざまな難題が待ち構えているだろう。
 外交問題。
 貴族たちとの対話。
 国の発展と繁栄。

 でもその前に大変だけど楽しいことが待っているわね。
 ……
 せっかくだからヴェールをレース編みにしてみたらどうかしら? 細かく編み上げられた真っ白なレースは、光を通してきらきら輝いて素敵だと思うわ。レース編みは二人の軌跡に重要な役割を果たした品物だもの。きっといい思い出にもなる。
 それに贅沢にレースを使ったヴェールを着ければ、きっと招待客の目に止まるわ。気に入ってくださった方々は必ずお買い求めくださる。お買い求めくださったレースを祖国で身につけてくだされば、その国の社交界で話題になるでしょう。そうすれば各国の商人が自分の店に置くために買い付けに走るはず。
 石鹸も、シーツや枕カバーの洗濯に使えば、匂いのよさを喜んでもらえるでしょう。帰国したあと話題にしてもらえれば、注文が殺到するに違いないわ。
 そうそう特産品といえば、他にも……。
 ……
 ……
 ……

「……何をしてるんだ?」
 ノックして入ってきた彼は、振り向いたわたしを見てあきれたように目じりを下げた。
「何って、手紙を書いているのよ」
「その割にはまだ一行もしたためていないみたいだな」
「あ……」
 指摘された通り、手紙の用紙にはまだ何も書かれていない。
 いけない。つい思索にふけり過ぎちゃった。
 傍らに立った彼は、ため息をついてわたしの肩にぽんと手を置いた。
「商売のことを考えるのはほどほどにしておいてくれ。……その笑顔で黒いことを考えていると思うと、怖いから」

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